不妊症について

不妊症とは

夫婦がともに妊娠を希望して通常の夫婦生活を営んだ場合、70%~80%の女性が1年以内に、80%~90%の女性が2年以内に妊娠します。日本では、避妊をせずに、2年以上夫婦生活を続けても妊娠に至らない場合を、「不妊」といっています。また「不妊」のカップルが、妊娠を希望して何らかの医学的治療を必要とした場合に「不妊症」といいます。

不妊症の原因

不妊には多くの原因があり、複数の原因が重複していることも少なくありません。以前は、女性側に原因があることが多いといわれましたが、実際には、男性側の原因も女性側の原因も同じくらいの比率であるといわれます。ただ、最近の生殖技術の進歩により、地域や施設で差があるのも事実です。

女性側の原因

  • 排卵障害や黄体機能不全(妊娠を維持するホルモンのバランス異常)などホルモン異常
    卵巣機能不全、視床下部‐下垂体疾患、甲状腺疾患、副腎皮質疾患など

  • 卵管の通過性障害
    卵管の狭窄や閉塞、卵管周囲の癒着

  • 着床障害や子宮腔内の通過性障害など子宮の形態異常
    先天性子宮奇形、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮腔内癒着

  • 子宮頸管の通過性障害
    子宮頸管粘液分泌不全、子宮頸管狭窄・炎症、子宮頸管粘液中の抗精子抗体の存在

男性側の原因

  • 精機能障害
    無精子症、乏精子症、精子無力症

  • 精管の通過障害
    精管の狭窄や閉塞

  • 射精障害

その他

  • 腟閉鎖・腟欠損
  • 性交障害
  • 免疫学的原因
  • その他、原因不明


不妊症の検査

不妊治療をいつから開始するかは、それぞれの事情で変わってきます。夫婦の年齢や妊娠をどの程度に強く希望しているかなどが考慮する条件になります。女性が30歳以上である、早く妊娠することを強く希望している、あるいは不妊の原因がわかっており治療しないと妊娠しにくい状態である、などの時は、2年以上経っていなくても検査や治療を始める場合があります。

不妊症の検査にはいろいろなものがあり、女性側・男性側それぞれに検査する必要があります。また、検査を行った後、治療方針を決定して治療に移るというのが理想ではあります。しかし検査の種類によっては、月経からの時期により、検査をできるものとできないものがあります。一度、検査のタイミングを逃すと、一ヶ月待たなければならないということも少なくありません。これでは一通りの検査を終了させるまでに、数ヶ月が経ってしまったということもありえます。このため、検査と並行して、必要な治療から始めていくということになります。

主な検査

基礎体温測定
血液中ホルモン検査
卵管通過性検査(卵管通水検査、子宮卵管造影検査など)
経腟超音波検査(エコー)
ヒューナーテスト(=フーナーテスト:性交後試験)
精液検査
子宮鏡検査
腹腔鏡検査
その他:卵巣年齢(坑ミュラー管ホルモン)測定など