子宮がん検査

子宮がんとは

「子宮がん」は、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられます。
一般に「子宮がん検査」という場合は、「子宮頸がん検査」を指します。

「子宮頸がん」の原因

「子宮頸がん」は、ほとんどが「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスが原因で起こります。HPVにはいろいろな型のものがあり、皮膚にできる「いぼ」もHPVの仲間が原因です。

しかし「いぼ」の原因になるHPVは「低リスク型HPV」といって、「がん」の原因になる可能性は高くはありません。「子宮頸がん」の原因になるHPVは「高リスク型HPV」と呼ばれます。ただし「高リスク型HPV」に感染すると、必ず「子宮頸がん」になるというわけでもありません。

日本人成人女性の場合、全体の8割くらいの方が、少なくとも一生に一度はこの「高リスク型HPV」に感染するといわれます。しかし大部分の女性では身体の抵抗力で自然に消えてしまいます。一部の女性で、消えずに持続的に残ってしまったり繰り返して感染した時に、「子宮頸がん」の原因になってしまいます。

子宮がん検査

「子宮がん検査」は「子宮頸部」の細胞を擦り取ってそれが「がん細胞」に変化していないかを調べる検査です。正常細胞が「がん細胞」に変化するまでには、通常少なくとも数年間の期間が必要です。このため定期的に検診を受けていれば、万一がんになっても早期の状態で見つけることが可能になります。

「子宮頸がん」は原因がはっきりしており、定期検診を受ければ早期発見でほぼ100%治癒することが可能な唯一のがんです。
定期検診を受けましょう。

なお諸外国では以前から既に「高リスク型HPV」感染予防のワクチンが接種されています。日本でも2009年12月から、この「高リスク型HPV」感染予防のワクチンが発売になり、また2011年8月からは「高リスク型HPV」と「尖圭コンジローマ」の両方に予防効果を持つワクチンが発売されました。

当院でも、「子宮頸がん」を少しでも減らすために、「高リスク型HPV」感染予防のワクチンに対応していきます。(休止中/2016年7月現在)


子宮がん検診のクーポン券について

厚生労働省は、「子育て支援」の一環として、2009年度から「女性特有のがん検診推進事業」を行っています。具体的には、子宮がんと乳がん検診の検診料をクーポン券で割引にするという内容です。日本での子宮がん検診受診率は、地域的な差もありますが、大体10~15%となっています。欧米では70~80%といわれており、日本での低さが際立っています。クーポン券交付により、受診率を50%以上に向上させるのが目的です。対象は、子宮がん検診が、4月1日の時点で20歳・25歳・30歳・35歳・40歳の方、乳がん検診が4月1日の時点で40歳・45歳・50歳・55歳・60歳の方です。40歳の方は、両方とも対象になります。

対象者にはクーポン券が発送されており、前年度の各市町の子宮がんや乳がん検診を受けられた方も対象となっています。

当院もこの検診に対応していますので、ご希望の方はご来院ください。また、ご不明な点などがあればご連絡ください。

HPV感染予防のワクチン

(休止中/2016年7月現在)


「ヒトパピローマウイルス(HPV)」には、現在100種類以上の型が報告されています。それらは大まかには2種類のグループに分けられ、ガンの原因とは関係ない「低リスク型HPV」と「子宮頸がん」などガンの原因になりうる「高リスク型HPV」に分けられます。「低リスク型HPV」は尖圭コンジローマやいわゆる「イボ」の原因となり、主なものとして「6型」「11型」「54型」などがあります。また「高リスク型HPV」はガンの原因になりうるもので「16型」「18型」「45型」「31型」「33型」などがあります。

現在発売されている2種類の「高リスク型HPV」感染予防のワクチンは共に「16型HPV」と「18型HPV」の感染予防を対象としています。どの型のHPVの頻度が多いのかは、人種・民族あるいは地域により差がありますが、日本人の場合、「子宮頸がん」の7割は「16型」と「18型」が原因とされています。残りの3割は「45型」「31型」「33型」など「16型」と「18型」以外が原因とされます。このため「高リスク型HPV」感染予防のワクチンを接種してもすべての「子宮頸がん」を予防できるわけではありません。

「高リスク型HPV」感染予防のワクチンを接種すれば、子宮がん検診を受ける必要はなくなるというわけではありません。「45型」や「31型」「33型」など「16型」「18型」以外のHPVが原因の「子宮頸がん」を早期発見するために、子宮がん検診はこれまでどおりに必要です。しかしワクチン接種とガン検診を併用することにより、ガンになる危険をこれまで以上に減らすことが可能になります。

また「高リスク型HPV」感染予防のワクチンは、現在感染している「16型」と「18型」のHPVに対しては治療して消去してしまうというものではありません。あくまでまだ感染していない方に対して今後の感染を予防するというものです。

ワクチン接種の対象は、「16型HPV」と「18型HPV」に感染していない女性ということになります。理想的には小学生高学年から中学生頃になりますが、前記の理由で、10歳以上の女性全員が対象になります。